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門出のとき

新幹線で数時間、帰ってこようと思えば、いつでも帰ってこれる距離なのに、自立して家を出ると思うと、胸が痛む。
いつまでも、子どもに甘えっきりの母親ではいけないと思うけれど、理性で割り切れないこみ上げる感情がある。

しかし、冷静になってみると、仕事を探せずにいる若者、仕事をしようともしない若者がいる中で、自分の夢に向かって仕事を探しだし、就職にこぎ着けた息子を送り出せる母親としての私は、幸せなのだと思う。
若者の夢は先を走るもので、もはや中年の私には追いつけるはずもなく、何を考えているのか捉えようとしても難しいのだけれど、彼なりに描いた未来に一歩踏み出せたことを祝福したい。そうして、自分の足で歩み出している息子を誇りに思う。
玄関まで見送りに出た義父も80歳。元気で達者な人だと思っていたけれど、息子を見つめる目は潤んでいた。でも、大丈夫。我が家の長男は、やるときはやるから。今夜は、気弱になった義父にそう言葉をかけよう。

まもなく四月。けれども時折白いものが空を舞う。寒い強風の午後。
しかし日は照っていて明るかった。
息子の門出のとき。
きっと、いいことがある。そんな予感がする門出のときだった。

by hanaatushin | 2005-03-30 12:29 | 大切なとき