本について

かつて、本は大切なものの一つだった。
学生時代、お気に入りの作家の全集を持っていることが
ちょっとした自慢だった。
たとえそれを古本屋で買い求めたにせよ
全集を持つということはステイタスだった。

本を買えば、文庫本も新書版もハードカバーも
大切に書棚に並べた。
少しずつ自分の本が増えていくのが嬉しかった。

学生時代は、スチールの書棚を持つのが精一杯で
それが二つ目になったとき
誇らしげな気分を味わったことを覚えている。

しかし、今の私は、仕事に必要な本はたくさん買うが
本当に自分のための本は手にしなくなった。
むしろ、古い本を片っ端から売り払っている。
後ろめたい気持ちを押し込めて、
売りに出す本を袋に詰めた。


以前、フィンランドに行ったとき
町を歩いてみた。
首都である町でさえも、東京などとは違って、人混みはない。

郵便局に行って切手を買い求めた。
同じ建物に、賑わっているフロアーが見えた。
ゲートのような改札のような所を通過しないと入れない場所だった。

後から聞くと、そこは図書館だったらしい。
町の閑散とした様子とは違って、図書館には人が集まっていた。

フィンランドは学力が高い国として最近よく取り上げられているが
その理由の一つに、読書があげられている。
図書館の賑わいも頷ける。

フィンランドは人口がさほど多くない。
つまり、フィンランド語を読む人も多くはない。
だから本を作っても発行部数が限られるため、本の値段が高いらしい。
本は高価なものだから、図書館が充実していて、たくさんの親子で賑わうことになる。

親は時間通りに家に帰って、
しっかりと読書の時間を持つ。
当然、子供への読み聞かせの時間も多くなる。

直接読書には関わりがないが、
テレビをつけていても、
喧噪に包まれた番組や
フラッシュカードのように場面が移り変わる番組や、
極彩色の溢れた番組は、無かったような気がした。
子供用だと思われるアニメーションは、ゆったりとした動きで、淡い色合いだった。
話し方もゆったりとしていた。
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写真は、「長靴下のピッピ」を書いた、リンドグレーンのテーマパーク。
長靴下のピッピのショーをしていた。
でも、私たちが行った数日後、放火のため閉鎖された。
自然の中に、小さな建物があって、物語の世界を再現しているだけのところだった。
日本のテーマパークとは全く違って、静かだった。

たくさんの本を売り払おうとして、
突然フィンランドの図書館や自分の若かりし頃のことを思い出したので、
なんとなく書いてみた。
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by hanaatushin | 2007-10-25 00:51 | つぶやき