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去年の秋から冬にかけて
私は子供たちが巣立ってしまうことを恐れていた
自分だけが取り残されて
そして年老いて一人ぼっちになってしまうような気がして
不安で不安でたまらなかった

居ても立ってもいられない不安とイライラと寂しさを
夫のせいにしたこともあった
子供たちのせいにしたこともあった
義父母のせいにもした

そして恐れていた4月が来た
とうとう娘も家から離れていった

けれど、私は大丈夫だった
寂しさにうろたえ
悲しみに沈み込む
そんな気持ちに襲われたことは一時も無かった
自分でも不思議だった

子供たちがいない生活に慣れ始めた頃、
突然、私が入院した
子供たちはそれぞれに離れて暮らしているけれど
違う形で私を励ましてくれた
毎日何度もメールをくれた息子
時間を見つけては会いに来てくれたもう一人の息子
学校から自転車を走らせて雨の中も顔を見せてくれた娘
子供たちのさりげない振る舞いにどれほど元気づけられたことか

夫も大きな支えだった
おもしろいことの一つもいってくれればいいのに…
といつも思っていた
その夫が、仕事先から2時間もかけて、毎日のように顔を見せてくれた
大きな花束を抱えて、
夜遅く病室に現れた夫の顔を見ると安心した
近くにいてくれるだけで心強かった
絆_d0009689_11534856.jpg


皮肉なことだが
病気で入院したことによって
あっても見えなかった
もしかしたら見ようともしていなかった
家族の絆がよく見えた
私の家族には私の家族なりの絆があったのだということが
ようやく見えた

by hanaatushin | 2006-06-02 19:01 | 大切なとき