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子供だった頃

どうして周りの友達はあんなふうに笑えるのだろう
どうしていつも笑っていられるのだろう
不思議でならなかった

箸が転げてもおかしい年頃といわれる頃
私は 笑えない娘だった  と思う

いつも不安が自分を包んでいた ような気がする
鬱々とした気分で毎日を過ごしていた ような気がする

アカシアの大連
という作品があった。
友達に勧められて読んではみたものの
よく分からなかった
けれど、
どっぷりおも~い気分に沈み込んでいったことだけは覚えている

羊ヶ丘
を読み声をあげて泣いた夜もあった

行助
という名の男性が主人公の作品を読み
  破傷風がストーリーのモチーフにあったような
  テレビ番組にもなったような
  大事な作品なのにタイトルを忘れてしまっている

自分の子供には「行助」と名付けよう
正直で誠実でまじめに生きる男になるために…
と真剣に思った日もあった

何を考えて暗かったのか
何を思って鬱々としていたのか
思い出そうとしても 浮かんでこない

ただ、楽しそうに笑い合う友達を見ながら
どうして いつも楽しくしていられるのかと
本当に不思議に思ったことだけはよく覚えている

随分昔のことだけれど思い出してみると
新たに気付くこともある
私自身が人とうまく関われない子だったのかなと
自分の殻の中で自分だけを見て大きくなってきたのかなと
仲良しの友達をうまく作れない少女が
暗い顔をしてますます孤立していたのかなと

でも、こうして大人になっている
悩みがあっても
孤独があっても
大人になっている
そして、自分にそんな少女時代があったことさえ忘れかけている



子供だった頃_d0009689_6394649.jpg


                      2005,8 ウイーンの路面電車

by hanaatushin | 2006-03-04 06:29 | 思い出のひとこま